サステナビリティ
新製品・新技術の創出
当社は「基盤技術を強化しイノベーションを創出する」を技術本部方針として掲げ、創業以来培ってきたベンチャー精神のもと研究開発を行っています。
既存事業の半歩先、1歩先の領域には、まだ、未来を拓く可能性を秘めた数多くのテーマがあります。そこからさらに歩を進め、未来に向けた新たな領域へ向かうことを目指しています。
指標・目標
指標 | 範囲 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 中長期目標 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2024年度 | 2030年度 | ||||||
研究開発費 | 連結 | 億円 | 15 | 16 | 18 | - | - |
特許出願数 | 単体 | 件 | 8 | 8 | 19 | (累計)45 (2022~2024年度) |
(累計)210 (2022~2030年度) |
外部機関との協業件数 | 単体 | 件 | 3 | 4 | 9 | (累計)10 (2022~2024年度) |
(累計)35 (2022~2030年度) |
研究開発体制
3ヵ年中期経営計画の施策のとおり、研究拠点である研究開発センターの環境整備などハード面の充実を図ってきました。その中で、コンパウンド・フィルム技術の更なる深化のため、研究開発センター(東京)1号館/2号館/3号館の本格運用を開始しました。3号館にフィルム試作機を導入し、コンパウンドで開発した材料をフィルム・シート化してサンプルワークできる体制となっています。
2023年度には、2号館に加硫ゴム代替動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)コンパウンド開発のための混練機を含めた新しいTPV生産用のセミコマーシャルプラントを完成させました。このセミコマーシャルプラントの活用を通して生産技術を磨き、将来の実機導入に向けた研究を進めています。
基盤技術
処方設計技術
様々な原材料を使いこなし、ニーズの多様化と高度化に的確に対応した設計を行っています。製品の開発スピードをさらに加速し、データ駆動型の研究開発による処方設計の効率化・高速化を図る目的でMI(マテリアルズ・インフォマティクス)を導入しています。
配合・混練技術
複数素材のモルフォロジー制御、反応改質技術により、ますます広がる高機能材料へのニーズに対応します。お客様での加工適性を高めるため、最適な混練状態にてコンパウンドを提供しています。また、当社が長年培ってきた技術を活かし、最適な成形加工条件やお客様での成形不具合の改善提案をしています。これらの生産加工技術は、海外連結子会社の生産拠点でも継承されています。
フィルム製膜・加工技術
当社の熱可塑性樹脂での製膜技術は、世界でも通用する技術力を有しており、フィルム表面の均質性や品質安定性は非常に優れています。また、多様なラミネート加工技術により、特性の違うフィルムをラミネートすることができます。フィルムの表面改質のためコーティング加工も行っており、汎用レベルから精密塗工までの塗工技術を保有しています。これらのフィルム製膜、ラミネート、塗工技術の総合的追求により、付加価値の高い機能性フィルムを提供しています。
知的財産戦略・オープンイノベーション
サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)の推進など、昨今の社会変化に対応していくためには、多面的な視点から経営戦略を策定することが不可欠です。そこには、知的財産情報を活用するIPランドスケープが有効であり、当社の経営課題に対して知的財産部が主導となって提言を実践しています。
オープンイノベーションによる知財創出は、当社の重要開発戦略のひとつでもあり、研究成果に応じて特許出願も進めています。「特許出願件数」、「外部機関との協業件数」をKPIに定めて活動しており、外部との連携によってもたらされる新たな発見、イノベーションから得られた知見を活用して新製品・新技術の開発力を高めていきます。現在進行中の開発テーマに加えて、今後はフィルム製品の開発テーマにも注力していきます。
環境対応製品の開発
バイオマス材料を使用しているRIKEBIO®シリーズの拡充・拡販をしていくとともに、省エネルギーに貢献する素材を開発すること、加硫ゴムに比べて生産時のCO₂排出量を削減できる熱可塑性エラストマーを加硫ゴム代替として普及させることが、今後の大きな課題です。加硫ゴム代替TPVは、当社のエラストマー事業の核となるという認識で研究・開発を進めており、MIを活用した処方の最適化によって基本設計を確立し、セミコマーシャルプラントでの少量生産やサンプルワークが可能となりました。コンパウンドだけでなく、コンパウンドとして開発した材料を使用したTPVシートなども上市していきたいと考えています。
環境問題は当社にとって単なる「制約条件」ではなく、攻めに転じることができる「挑戦機会」にもなります。しかし、いくら素材が環境に良くても、選ばれなければ環境負荷を抑えることはできません。多くの人に選ばれるように、お客様にとって有用で手が届くものを意識して開発を進めています。
研究開発のDX
お客様への最適なソリューションの提供を実現するため、また、当社が「持続的成長」を続けるためには、研究開発分野においてもデジタル環境の整備がますます重要となります。当社では、MIを活用し、MI人材を育成するとともに、データ駆動型の研究開発による処方設計の効率化・高速化を図っています。また、試験業務、試験機器、試験結果など蓄積された技術情報を包括的にデジタル管理し、データを有効に照会・活用する仕組み、環境整備を進めています。研究開発業務のフローを最適化し、個人での作業から、組織として価値を生み出すプロセスへの転換に取り組んでいきます。