サステナビリティ

気候変動への対応

気候変動問題について、脱炭素社会の実現に向けた温室効果ガス(CO2)排出規制の強化や、気候変動による自然災害の増加等は、グループ全体の財務におけるリスク要因となります。一方、脱炭素社会に受け入れられる製品を開発することにより、ビジネスチャンスにもつながります。
そのため、当社グループでは、気候変動の緩和に向け、2050年カーボンニュートラルをグループ全体の目標に掲げ、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進に努めています。また、気候変動の適応に向け、BCPを策定し、被害・損害を最小化する体制を整えています。
また、当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しており、TCFD提言に沿った取り組みや情報開示に努めています。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

G20の意向を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した民間主導のタスクフォース。気候変動によるリスクおよび機会が経営に与える財務的影響を評価し、4つの項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)について開示することを推奨している。(TCFD 公式サイト:https://www.fsb-tcfd.org/

指標・目標

当社グループでは、2050年カーボンニュートラルをグループ全体の目標に掲げており、CO2排出量の削減に向けた中長期の排出削減目標を設定するとともに、削減に向けた具体的な取り組みを計画し、指標も設定して取り組みの進捗を管理しています。

指標 範囲 単位 2020年度 2021年度 2022年度 中長期目標
2024年度 2030年度
CO2排出量(Scope1+2) 単体 t-CO2 42,833 41,565 41,139 35,446 24,139
(2019年度比46.2%減)
連結 t-CO2 82,157 86,303 86,220 - -
CO2排出量(Scope1+2)
CO₂排出量(Scope1+2)
CO2排出量(Scope1+2)の削減目標
CO₂排出量(Scope1+2)の削減目標

サステナビリティ委員会

気候関連では、サステナビリティ委員会において、以下のような内容について審議を行っています。

サステナビリティ委員会の主な審議内容

  • 気候関連のシナリオ分析
  • 短期・中期・長期の気候関連のリスクおよび機会の特定と重要度評価
  • 特定された重要な気候関連のリスクおよび機会に対する戦略的な取り組み方針
  • 気候関連のリスクおよび機会への具体的な対応策の検討
  • 気候関連のリスクおよび機会に関して採用された対応策の進捗管理

シナリオ分析

当社グループは、2100年における世界の気温上昇が2℃あるいは4℃という2つの世界観で、気候変動に伴う2030年および2050年のシナリオ分析を実施しました。分析にあたっては、下表に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオを参照しています。

世界観 分析に用いたシナリオ
2℃ Sustainable Development Scenario (SDS), IEA, 2020
Representative Concentration Pathways (RCP2.6), IPCC, 2014
4℃ Stated Policy Scenario (STEPS), IEA, 2020
Representative Concentration Pathways (RCP6.0, 8.5), IPCC, 2014

財務影響が大きいと想定されるリスクとして、気温上昇が2℃の世界観では、炭素税によって従来型原材料から低炭素型原材料への転換が発生し、原材料代替のための開発コストや調達コストが発生あるいは上昇することを想定しています。気温上昇が4℃の世界観では、石油化学由来原材料の価格が高騰し、原材料の調達コストが上昇することや環境規制対応のための設備更新費用の発生、石油・石炭由来の原材料や燃料のコスト増加等を想定しています。
シナリオ分析の結果を参考にしながら、サステナビリティ委員会を中心に、短期・中期・長期の気候関連リスクおよび機会を特定し、重要度や財務における影響を評価するとともに、特定したリスクと機会に対する具体的な対応策を検討し、取り組みの進捗を管理しています。

リスク

炭素税の導入など気候変動対策を進める政策手段の導入や環境に配慮した製品への開発遅れや対応の遅れにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

リスクの種類 リスクの概要 財務影響 影響期間
2℃ 4℃
移行
リスク
政策および規制 炭素税の増加により、主要原材料やエネルギーの調達コストが上昇する 長期
政策および規制 炭素税によって従来型原材料から低炭素型原材料への代替が発生し、原材料代替のための開発コストや調達コストが発生あるいは上昇する - 中期
技術 環境に配慮した製品の開発が遅れ、競合他社の低炭素型製品へ置き換わることで、当社製品・サービスへの需要が減少し、売上が減少する - 中期
市場 石油化学由来原材料の価格が高騰し、原材料の調達コストが上昇する 長期
市場 当社顧客の石油由来原材料の使用量削減、脱石油由来原材料等への転換対応に遅れをとった場合、対応が遅れた製品・サービスの需要が減少し、売上が減少する - 中期
評判 環境対応の遅れにより投資家からの評価が低下し、株価が下落する - 中期
物理的
リスク
急性 当社およびサプライチェーンが被災し、復旧までの間、事業活動の停止や縮小により売上が減少する、また復旧および対策コストが増加する 中期
慢性 降雨パターン・気象パターンの極端な変動による河川の氾濫、海面の上昇による高潮の発生増加により、海や河川の近隣にある当社建屋への対策コストが増加する 短期

機会

省エネ貢献商品の開発、低炭素型製品や機能付与した素材の提供などが、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

機会の種類 機会の概要 財務影響 影響期間
2℃ 4℃
エネルギー源 市場における省エネ貢献商品の開発、再生可能エネルギーの発電技術や機器の普及により、関連する当社製品の売上が増加する - 短期
製品およびサービス 低炭素型製品の需要増加に伴い、機能付与した素材、石油由来成分の少ない製品(低炭素型製品)の開発・販売により、当社製品の需要および売上が増加する - 中期
評判 気候変動対応への積極的な取り組みにより、ステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値の向上につながる - 短期
レジリエンス 当社拠点のグローバル展開により、自然災害が増加する環境下においても顧客へ製品を安定的に供給するレジリエンスが向上し、売上の減少を防ぐと共に顧客の信頼を獲得することで売上の増加につながる 短期

2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み

これまでの取り組み

  • RIKEBIO®の開発
RIKEBIO®の開発
  • 群馬工場隣接の太陽光発電設備による電力供給
群馬工場隣接の太陽光発電設備による電力供給
  • 省エネボイラーへの設備更新
省エネボイラーへの設備更新
  • フォークリフトのEV化や社用車の低燃費車使用
フォークリフトのEV化や社用車の低燃費車使用

今後の取り組み

  • 生産拠点の設備改修(空調、生産機等)、既存設備の省エネ化
  • エネルギーロードマップの作成
  • 再生可能エネルギーの導入拡大
  • RIKEBIO®シリーズの拡充、拡販

気候変動への適応