お知らせ
2026/05/29
リケンテクノス 新居浜工業高等専門学校との共同研究により、水処理光触媒における新たな評価手法を確立
リケンテクノス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:常盤 和明)は、国立高等専門学校機構 新居浜工業高等専門学校(愛媛県新居浜市、校長:東海 明宏、以下、新居浜高専)との共同研究により、水処理光触媒の性能をより正確に評価する新たな評価手法を確立しました。
当社と新居浜高専では、酸化鉄磁性粒子を多孔質体に担持した水処理酸化鉄光触媒を共同開発しました。その性能評価の過程で、従来
一般的に用いられてきた「脱色(可視光域の吸光度低下)」のみを指標とする評価手法では、有機物の分解を正確に判断できない場合があることがわかりました。そこで、深紫外領域(230nm付近)の吸光度変化を併せて評価する手法を導入し、「色が消えただけの場合」と「有機骨格の分解の進行状態や中間体の生成」をより多面的に評価可能な新たな評価手法を確立しました。
1. 研究の背景
光触媒を用いた水処理技術では、対象物質の分解の有無を、溶液の色の変化、すなわち可視光領域(約400〜700nm)の吸光度低下に
よって評価する方法が広く用いられてきました。しかし、有機染料や難分解性有機物の多くは、芳香環などの安定な有機骨格構造を有しており、発色団の一部が変化しただけでも脱色が起こる場合があります。そのため、見た目には「分解された」ように見えても、実際には有機骨格が水中に残存している可能性があります。従来の評価方法には、分解の程度を正確に判断しにくいという課題がありました。
2. 今回確立した評価手法の特長
(1)可視光域と深紫外域の二重指標評価
本研究では、従来の可視光域(脱色評価)に加え、200〜250nm付近の深紫外領域における吸光度変化を評価指標として導入しました。この深紫外領域は、芳香環や低分子量有機物に由来するπ–π*遷移に対応しており、有機骨格の残存や分解過程(中間体生成)を把握
するうえで有効です。
(2)「脱色」と「有機骨格分解」の明確な区別
可視域の吸光度のみが低下し、深紫外域に変化が見られない場合は、発色団の変化による脱色にとどまっていると判断できます。
一方、深紫外域の吸光度低下や低波長側へのシフトが確認される場合は、芳香環構造の変化や分解過程の進行を示唆します。
なお、深紫外領域の吸光度は、分解中間体の生成により一時的に増加する場合もあるため、本評価手法は単一の指標ではなく、可視領域の変化と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
(3)新居浜高専との共同検証による妥当性の確認
新居浜高専との共同研究では、複数の光触媒および難分解性の染色試薬を用いて検証を行いました。その結果、本評価手法が材料性能の違いを明確に判別できることを確認しました。

3. 本評価手法の意義
本成果により、光触媒を用いた水処理技術について、見かけ上の変化に左右されない、より本質的な性能評価が可能となります。また、材料ごとの真の分解能力を比較しやすくなり、実用化を見据えた性能判断にもつながります。これは、水処理分野における研究開発の
質を高め、実用性の高い技術の選定に資する重要な基盤技術であると考えています。
4. 今後の展望
本研究で確立した評価手法は、難分解性染料や有機汚染物質に限らず、さまざまな水処理対象への適用が期待されます。今後は、この
評価手法を基盤として、より高い分解性能を有する光触媒や処理プロセスの開発を進め、水処理技術の高度化と社会実装への展開を目指していきます。
リケンテクノスは、産学連携による共同開発を通じて、新たな分野の開拓と技術開発に引き続き取り組んでまいります。
▼国立高等専門学校機構 新居浜工業高等専門学校
https://www.niihama-nct.ac.jp/