自動車に用いられる加硫ゴム部材を
切り替え リサイクル可能な
エラストマーに置き換える
自動車の部材には金属以外にも様々な樹脂や加硫ゴムが使われています。加硫ゴムは熱に強く、ゴム弾性や耐久性に優れているため自動車部材として採用されてきましたが、一方でリサイクルにおける課題もあります。近年、CO2排出量の削減や省資源化が叫ばれるようになると、リサイクルが簡単で加硫ゴムよりも軽く、自動車の軽量化につながる自動車部材が業界の中で求められるようになってきました。そこでリケンテクノスが開発を進めてきた、熱可塑性エラストマーというコンパウンドが注目されています。リサイクル性の高さや環境への負荷の低さから評価され始めた素材で、SDGsなど環境意識の高まりを追い風に、さらに注目されています。
耐熱性の点でエラストマー製品では
採用が難しい部品もあった
熱可塑性エラストマー(以下、エラストマー)の特徴は、ゴムに近い性質を持ちながらも加硫ゴムより軽量な点で、自動車の燃費・電費の向上に寄与します。そのうえ、熱を加えると溶かすことができるので、リサイクルも簡単に行えます。ですが、言い換えるとゴムよりも熱に弱く、耐熱性が劣るということでもありました。私たちに課せられたミッションはシンプルでしたが、難題でした。自動車部材にも使える耐熱性を高めた、エラストマーコンパウンドの開発です。
時間をかけてお客様の要求性能を
満たす製品を開発する
実際に開発を開始すると、耐熱性以外にも克服すべき課題が次々と出てきました。自動車の内側に使われる素材でしたらまだ良いのですが、例えば窓ガラスを支えるゴムパッキン部分には、一年中紫外線が当たります。当然、我々が開発するエラストマーコンパウンドには、高い耐候性も求められることとなります。提案するお客様によって、求められる製品性能は多種多様です。基礎の開発だけでも複数の課題があるうえ、お客様ごとの細かな要望に応えていくために、検討会が繰り返されました。
お客様の期待に応えた高性能な
エラストマーコンパウンドが
新たなチャンスを生む
こうして新しく出来上がった自動車用のエラストマーコンパウンドは、お客様から好評をもって迎えられました。車両の軽量化に貢献できたとのお声は本当にうれしかったですし、同じ材料を使って別の部材でも検討したいという追加依頼が来たときは、あきらめないで本当に良かったと思いました。今後はまだ採用されていないような部材をターゲットとした新製品開発に尽力していきたいです。